モノからコトの先へ!評価経済時代のブランドづくり「コミュニティドミナントロジック」とは?
さまざまな方面の方から、「絶対ブログを始めたほうがいい」という声をいただき、今回ブログを始めることにしました!
テーマはズバリ、
『評価経済時代の真ブランドづくり』
この新たな時代の「ブランドづくり」について、考えていることを発信していこうと思います!
第一回目の記事では、これからのブランドづくりの最もベースとなる考え方を自分なりに整理しました。
端的に要約すると、「モノからコトへ」「機能価値から体験価値へ」という話を最近もよく耳にしますが、この”コト価値”や”体験価値”の最大化をブランドづくりのゴールにしていては、今後勝てなくなるのではないかと考えています。
なぜなら、顧客がブランドを選ぶ選択基準が、「こんなモノがほしい」「こんな体験がしたい」というモノやサービスがもたらす体験に寄った選択基準だけではなく、「このブランド(この人)から買いたい」「このブランドを応援したい・貢献したい・つながりたい」といった感情を持てるかが、選択基準として重要になってきているからです。
そこで、そのような変化でも選ばれるブランドになるための考え方を、「コミュニティドミナントロジック(C-Dロジック)」(造語です)という概念で整理してみました。
ぜひ読んでいただけると嬉しいです!
index
「サービスドミナントロジック」とは?
この考え方は、2004年にマーケティング研究者であるロバート・F・ラッシュとステファン・L・バーゴによって提唱された考え方です。
咀嚼して説明すると、G-Dロジックは「商品そのものの機能的価値の最大化 」を目指す概念で、S-Dロジックはモノをサービスの一部と捉え、「サービス全体としての体験価値の最大化」を目指す概念と整理できます。
モノが溢れる以前の高度経済成長期の時期は、まさに「G-Dロジック」の時代で、消費者の機能的なニーズが満たされていなかったので、商品自体の価値を高めることに意味がありました。(テレビをカラーにする、洗濯機を全自動にするなど)
しかし、モノが溢れてくると、なかなか機能的な差別化難しくなり、例えば冷蔵庫だと「ペットボトルが●本入る」「消費電力を●%下げよう」など、「G-Dロジック」の範囲での価値向上では、競争が厳しくなりました。コモディティ化という状況です。
そこで最近言われているのが、「S-Dロジック」の考え方です。
例えば冷蔵庫なら、「冷蔵庫の中身を把握してその食材で作れるレシピを提案しよう」とか「冷蔵庫の開け閉めで高齢者の見守りをしよう」とか、購入後の利用フェーズも含めて「どんな体験を提供すると価値が最大化するか」という視点で、冷蔵庫を単なるモノではなくサービスの一部として捉えます。
S-Dロジックでよく出てくる例としては、「ナイキ+」もあります。
あれは、ランニングシューズそのもののモノ価値だけでなく、そのシューズを履いてランニングする利用フェーズも含めて、距離やペースの測定や記録化といったサービスでランニング体験の価値を高めた、まさに「S-Dロジック」の考え方です。
つまり、 「G-DロジックからS-Dロジックへ」 という考えは、ここ数年あらゆるところで言われ続けている「モノからコトへ」とか「機能価値から体験価値へ」という考え方と同じで、今の世の中の大きな潮流でもあります。
しかしこれからの時代、さらにその先に行く必要が出ていると思います。それが今回整理した「コミュニティドミナントロジック(以下C-Dロジック)」です。
「コミュニティドミナントロジック」とは?
まず前提として、C-Dロジックの概念はS-Dロジックを否定するものではありません。
むしろすごく重要だと思っていますが、S-Dロジックだけでは勝てなくなるというのが今回考えたことです。
C-Dロジックとは、体験価値(S-Dロジック)をコミュニティ価値向上のための手段として捉え、「コミュニティ価値の最大化」を目指す概念です。
ここでいうコミュニティとは、オンラインコミュニティなど一部の人が特定のプラットフォームに集まるという”機能としてのコミュニティ”ではなく、「共通の想いに共感した人たちで形成される共同体」というもっと広義の意味で考えています。(宗教が近い考え方かもしれません)
もう少し具体的にいうと、そのブランドの体験(商品・サービス・社員など)に触れる中でそのブランドが持つ想いや価値観に共感し、そのブランドを「応援したい・貢献したい・守りたい・共に創っていきたい」、そんな気持ちを持った人たちを指します。
そしてこのような共通の想いを持った人たちをブランドの周りに増やしていくことを、「コミュニティ価値を高める」と呼んでいます。(コミュニティ価値の高め方は、今後別ブログでまとめます)
次に、このコミュニティ価値を語る際に切っても切り離せない考え方として、「Why」「Who」「What」の説明をします。この3つの整合性がコミュニティ価値向上には非常に重要です。
まず「Why」とは、 「何故その体験価値(商品やサービス)を提供するのか」という、ブランドが持つ”想い”のことです。
コミュニティ価値を高めるためには、顧客が共感する「想い」が必要不可欠です。
例えばC-Dロジック観点でブランド創りをしている先端企業であるクラフトビールメーカーの「ヤッホーブルーウィング」には、「ビールに味を、人生に幸せを」という想いがあります。
二つ目が、「Who」です。「Who」とは、その商品やサービスを提供している社員(トップ含む)のことです。コミュニティ価値を高めるためには、社員自身がWhyに「共感」し「体現」していることが重要です。そんな社員を知ったり触れ合うことでコミュニティ価値は高まっていきます。
前述のヤッホーブルーイングしかり、コミュニティ価値を高められているブランドは、このWhoの領域にも非常に力を入れており、社員がWhyに共感し体現するような社員づくりを行っています。
ちなみに、体現している姿を顧客に見せたり感じてもらうためのコミュニケーションもセットで重要です。これまでのマーケティングでは、社員が顧客の前に出ていくことは少なかったと思いますが、C-Dロジックの観点では社員が出ていくことが非常に重要になってくると考えています。(このあたりも今後別ブログでまとめます)
ヤッホーブルーイングでも「密着プレイ」という名のもと、社員と顧客がさまざまなイベントや取り組みを通して触れ合う機会を作っています。
三つ目が、「What」です。これは、商品やサービスといった形で実際に顧客に提供している体験を指します。
ここで重要なのは、このWhatもWhyをしっかりと体現していることです。単に体験としての価値が高いだけでは、この時代すぐに他社に真似をされてコモデティ化してしまうと思います。
コミュニティ価値を高めるためには、この3つを整合性ある形で設計し、顧客に実感してもらうことが重要だと考えています。
ちなみに「S-Dロジック」の考え方は、このWhatの部分の価値を最大化させようという概念と整理できます。
ここがS-Dロジックでのブランド創りと、C-Dロジックでのブランド創りが取り扱う(重視する)領域の異なる点です。
では次に、C-Dロジックでのブランド創りがなぜ重要なのかを説明します。
C-Dロジックが重要な3つの理由
大きく3つの理由があると考えています。
① 消費者の選択基準が「C-Dロジック」に移行
冒頭でも述べたように、これからの時代の消費者は 「このブランド(この人)から買いたい」「このブランドを応援したい・貢献したい・つながりたい」といった 「C-Dロジックの観点」が選択基準としてより一層重視されると思います 。
この背景には、個人の価値観が「お金」や「モノそのものの実用的な価値」から、より感情的な価値(やりがいや共感)や社会的な価値(社会課題への貢献や応援)を重視するようになっているという「個人の価値観の変化」が関係しています。
(詳細を知りたい方は書籍「お金2.0 (NewsPicks Book)0」をご参照。かなりの良書です)
特に30代以下は、この価値観の変化が顕著です。
心理学者マーティン・セリグマンが唱えた「人間の五種類の幸せ「達成・快楽・良好な関係・意味合い・没頭」をベースにした、書籍「モチベーション革命 (NewsPicks Book)」 の中の話がわかりやすいです。
要約すると、高度経済成長期やバブル期を経験した40代以上は、与えられた目標に向けがむしゃらに頑張ることが成功に直結(成長やお金)する時代で、かつG-Dロジック全盛で新たに欲しいと思えるモノがどんどん生まれていた時代だったので、金銭欲や物欲を満たすことでもたらされる「達成」や「快楽」に強く幸せを感じるそうです。
一方で、バブル期以降を過ごしてきた30代以下は、社会環境の変化からただがむしゃらに頑張ることが成功には直結するわけではなく、価値観やビジネスも多様化する中で自ら目標や目的を設定する必要がある時代なので、より「何のためにするのか」「何をしたいのか」「誰としたいのか」といった、「良好な関係」や「意味合い」に強く幸せを感じるそうです。
つまり、このような個人の価値観の変化があるので、単にサービスとして「いい体験」を提供してくれるブランドより、「応援したい・貢献したい・繋がりたい」と思わせてくれたり、その機会を提供してくれるブランドが、今後選ばれると思います。
② 外部環境への適応力が高まる
テクノロジーの進化が著しく、個人の価値観も多様化していく現代において、ビジネス環境はこれまでと比べものにならないスピードで変化していきます。
そんな中、Whyは変えなくてもWhat(商品やサービスとして提供する体験)は環境にあわせて柔軟に適応させていく必要があります。
このとき、 これまでのような中央集権的に一部のトップ層だけが考えていては、どうしても変化に気づくスピードが遅くなったり、そもそもズレた考えを持ってしまいます。
いかに現場の社員一人ひとりがそれぞれの立場で自発的に考えてくれるかが重要です。
そのためにもWho領域で社員のWhyへの共感度や体現度を高める取り組みは重要です。
そしてもう一つ、コミュニティ価値が高まっていれば、顧客側からアラートやヒントが得られたり、彼らと共に変化への対応を考えることもできます。
また、提供する体験(商品やサービス) が変化したときも、一から顧客に説明(プロモーション)して回らなくても、コミュニティの中で顧客同士が使い方や考え方を教えあったり広めてくれます。
さらに、提供する体験自体が未完全や多少の不備があったとしても、コミュニティがそのブラッシュアップを手伝ってくれたりもします。
つまり、外部環境がどんどん変化する現代において、C-Dロジックの観点で創られたブランドは、変化への適応力が非常に高いブランドになることができます。
③ コミュニティが強力なブランド資産に
インターネットやソーシャルメディアの普及で、個人の「発信力」が高まりました。
また、情報過多の現代では企業の広告は効きにくくなり、代わりに「自分が信頼する誰かからの情報」への信頼が非常に高まっており、個人の「影響力」も高まっています。
つまり今の時代、企業からの発信ではなくていかに「個人からの良質な発信を増やせるか」は大きな命題です。
そんな中、コミュニティ価値を高められているブランドは、「貢献したい」「応援したい」「守りたい」という人たちがいるので、個人が周囲に発信したり推奨したりしてくれます。
また、他にもファンからヒントを得てコミュニケーションのヒントを得えたり、ファンとの関わりで社員のモチベーションを高めたりなど、さまざまなプラスの効果をブランドに与えてくれます。(単にブランド認知が高かったり、イメージがいいだけではこのような効果は得られません)
つまりコミュニティ価値が高まっていることは、バランスシートには現れないが重要な「ブランドの資産」の構築であり、ここが築けているブランドとそうでないブランドでは、マーケティングや組織づくり等様々な面で雲泥の差がでてくるのです。
以上の3点から、これからの時代は「C-Dロジック」のブランド創りの重要性です。
ぜひみなさんのブランドでも「C-Dロジック」の観点で自社の状況を振り返ってみてください!
最後にご報告!
【報告】
— 田中陸也 @ALISアンバサダー (@RuuieTanaka) January 20, 2018
ALIS@ALIS_media の日本アンバサダーに選んでいただきました!
自分の知見を活かしながら、ALISのコミュニティ価値向上に向けて全力で取り組んでいきます!
ワクワクしかしない#ブロックチェーン #ALIS
この会社、 まさにC-Dロジックの観点でコミュニティ価値を高めながら世界を変えようとしている、素晴らしい「想い」をもった会社なんです!
この記事わかりやすいので興味ある方はぜひ!
ALISの取り組みについは、今後ブログでもまとめていきますし、この取り組みにより一層拍車をかけていくところに、自分もコミュニティの一員として全力で貢献していきますので、ぜひ楽しみにしていてください!
Facebookグループ募集!
あと本当に最後に!
ブログの内容に関するディスカッションや、事例や情報の共有&ディスカッションを、ゆる~くやっていこうと思います。
もし、今回のブログにご意見やご質問ある方や、興味のある方がいれば、以下の2つの質問に答えてグループへの申請をお願いします!
①どのような仕事・活動をしているか(企業名マスキングで大丈夫です)
②なぜグループに入りたいのか
▼申請はこちら
退会は自由ですので、ご興味あるかたはぜひ!
非常に長くなってしまいましたが、最後までお読みいただいた方どうもありがとうございました!
今後もよろしくお願いいたします。